伊藤医院|埼玉県さいたま市見沼区

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ドライアイ

マイボーム腺機能不全とは

マイボーム腺とMGD

マイボーム腺機能不全(以下、MGDと略します)という疾患をご存じですか?
涙は99%の水(液層)と1%の脂からなっていますが、その水分が蒸発しないために表面に一層薄く油の層がのっています。

油層と液層

その油を分泌しているのがまぶたのなかにあるマイボーム腺です。
このマイボーム腺の出口(まつげの生え際)が細菌感染などによって詰まると、涙のなかの脂分のバランスがくずれて、目が乾きやすくなったり、涙目になったり、炎症が起きたりします。 これをマイボーム腺機能不全(MGD)といいます。

マイボーム腺

脂が足りないタイプのドライアイ

最近の研究で、脂がたりないタイプのドライアイがドライアイ全体の85%以上であるということがわかりました。
脂が足りないタイプのドライアイでは、点眼治療では改善しない場合が多いのです。

正常眼・MGD眼・ドライアイの比較

正常のマイボーム線とMGD患者のマイボーム線

MGDになりやすい人
  • コンタクトレンズ装用者
  • 男性
  • 高齢
  • 肥満、脂質異常症の内服をしている人

高齢、男性、脂質異常症の内服をしている人がMGDになりやすく、メタボリックシンドロームとの関連が疑われます。また、コンタクトレンズの装用もレンズによる機械的刺激により、マイボーム腺が外傷をうけ、減少すると考えられています。

MGDの症状一覧

MGDを疑う症状として、以下のものがあります。当てはまる症状にチェックを入れてみてください。

(1)目が疲れやすい
(2)なんとなく目がごろごろしたり、不快感がある
(3)目ヤニがたまりやすい
(4)目がかゆい
(5)充血しやすい
(6)涙目になりやすい
(7)まぶたが重い
(8)まぶたが熱い
(9)ものもらいができやすい
(10)まつげが減ったり、眼にささったりしやすい
(11)まつげが汚れやすい
(12)目がごろごろする

(1)~(5)…ドライアイと同じ症状です。
(4)~(6)アレルギー性結膜炎と同じ症状です。
(5)~(10)MGD・眼瞼炎の特に多い症状です。

チェック項目が多い方は、一度眼科の診察を受けるようにしましょう。

MGDが原因で起こる病気

ものもらい(麦粒腫、霰粒腫)マイボーム腺の感染や脂のつまりによるしこり。時に炎症を伴う
脂が足りないタイプの
ドライアイ
マイボーム腺から分泌される涙の脂分が不足することにより、涙の量が正常であっても乾燥感、異物感、流涙感がおきる

MGD診断の流れ

1問診
当院オリジナルの問診表による問診+国際的ドライアイ・MGDの問診表(SPEED)による問診
2診断・測定
ドライアイ・MGD診断機(アイドラ、Keratograph 5M、DR1α)によるNIBUTの測定(ドライアイかどうか診断します)
3タイプ分類
ドライアイのサブタイプ分類のための検査(水が足りないか油が足りないか)涙液の水分量の測定(アイドラ)→マイボグラフィー撮影(アイドラ、Keratograph 5M、LipiScan、トプコンDC4M)
3涙液浸透圧の測定
参考検査 LipiViewによる涙液油層の厚み、サーモグラフィーによる眼瞼の温度測定

現在、日本におけるMGDの診断基準は患者さんの自覚症状とマイボーム腺出口の詰まり『タピオカサイン』です。(NHKガッテン!で紹介)

海外では症状がなくてもマイボーム腺の機能が低下していれば(マイボーム腺脂の性状の変化)MGDと診断し、早期のうちから積極的に治療を開始しています。

最近では複数のパラメータを1台の装置で診断する複合機が登場してきています。これらのパラメータのなかでも客観的で再現性の高い検査がマイボグラフィーによるマイボーム腺の形の観察です。

検査について

油層検査

LipiView、DR-1α

インターフェロメトリー(干渉縞観察・測定装置)

水層・油層・ムチン層検査

メニスカス idra K5M

通常、眼のなかに溜まっている涙の量を測定します。すぐに終わり、痛みはありません。

マイボグラフィー

涙のアブラの腺の形(マイボーム腺)を観察するものです。この方法では赤外光を用いて検査をおこないます。痛みやまぶしさは一切ありません。検査時間は両眼上下あわせて1分以内です。

水層検査

シルマー検査
5分間、紙を眼にはさんで、涙の分泌量を測定します。刺激感があり痛みを伴う場合があります。

当院にある検査装置

LipiView(アメリカ製)
角膜下方1/3のみの涙液油層の測定を行い、油層厚を定量的に測定できる。
DR-1α(日本製)
角膜全体(中央部も含む)の涙液動態の観察、油層の定性的観察ができる。
Keratograph 5M(ドイツ製)
トポグラフィ作成という基本機能に加え、マイボーム腺、ティアフィルム、充血度を評価する独自の機能を備え、高解像度画像または動画による記録が可能です。
idra (イタリア製)
ドライアイに関わる各検査を一台でこなすことができる複合機で、IPLや点眼、温罨法などの治療後の経過観察に最適で、患者様に適切なインフォームを行うことが可能です。

患者様向け冊子

一般の患者さんにマイボーム腺機能不全(MGD)についてもっと理解を深めていただけるようにと2020年3月に発行した冊子を、このたび大幅に改訂いたしました。

マイボーム腺の基礎知識や関連疾患、ホームケアや治療などについて、マイボーム腺機能不全診療ガイドラインを踏まえた改訂となっております。 冊子の内容は下記から閲覧・PDFファイルのダウンロードもできますので、ぜひご覧になってください。

※画像クリックで拡大表示します。

ダウンロードはこちら(PDF)

瞼を鍛えるレーニング

NHKあさイチでも紹介された「まばたきトレーニング」です。 パソコン作業やスマートフォン閲覧時の休憩時に簡単に行えるようにまとめました。

(参考文献) Korb DR. Blinking exercise can be used to decrease partial blinking and improve gland function. American Academy of Optometry, 2014 石川秀夫著「ドライアイは自分で治す 努力で治る」沖縄自分史センター株式会社、2011

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